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扉が閉まり、部屋は俺1人だけになった。
机の上には、陸が持ってきてくれたであろうペットボトルに入った水と、その横に俺がよく飲んでいる薬が置いてあった。
"主人用の薬"。主人の手駒に対する独占欲を無理やり抑えるための薬で、心身ともに負荷がかかる。
空腹のときは飲めないため、何かを食べなくてはいけないのだが、運悪くこの部屋には何もない。
まだ脚はふらつくものの、病院内の売店までなら歩けそうだった。
わざわざ陸が脱がしてくれていた白衣を着なおし、
廊下に出る。
人はもちろん、動物の姿のヒトもいない。
暗くて静かな廊下は、いつ、何回見ても慣れなくて怖い。
……そう思ってるうちに売店に着いていて、眠そうな顔をした店主と目が合う。
「店主、なんか腹満たされるものある?」
店主「んぁ……?あぁ、にぎり飯とかサンドイッチとかかぁ?」
「んー。おにぎりでいいや。何円?」
店主「200円だよ。兄ちゃん疲れてるみたいだし安く買い。まだ24だろ?無理すんじゃねぇって。」
「もう24なの。まぁ、お言葉に甘えることにするよ。ありがとね、店主。」
店主「……あぁ、そうだ。兄ちゃん、名前なんだっけか。」
「鈴木朝陽だけど?どうかしたのか?」
店主「そうか。いや……少しだけ頼み事がな。」
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