見に来て祝ってぶっ刺して

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　俺の小学校は、六月に修学旅行をするんだけどさ。行き先はねー、どこだと思う？　沖縄、広島、京都……まあ、そのあたり、メジャーだよね。残念。もっと北。……北海道？　北にぶっ飛びすぎでしょ！　正解は佐渡でーす！
　俺、新潟出身だからさ、旅行先も地味だったわけよ。金山で、砂金っていうんだっけ？　すっげえ小さくて一銭にもならないような金(きん)もどきを採って、朱鷺を護りましょうっていうお話しを聞いて。ゲホゲホ、これは、小学生ながらに、つまんねーなーって思ったね。

　ホテルもさ、白い壁がくたびれているわけよ。黒ずんでるっていうの？　しかも部屋にムカデが出るんだぜ？　ありえないっしょ。もうね、同じ部屋の奴らで、誰が最初にムカデを捕獲するかってゲームやったくらい。環境に適応して新しい遊びを発見する、小学生ながらに処世術ってのを学んだね。

　経費削減を学ぶ修学旅行……ハハハ！　面白いコメント！　その、節約修学旅行でさ、怪現象が起きたわけ。
　夜中にさ、俺の隣で寝てたやつに起こされたのよ。小声で「お腹痛い」って言うからさ、一緒に先生の部屋に行ったわけ。俺、一応、その部屋の班長だったから。
　そいつは無事に送り届けて……ゴホゴホ、廊下を一人で歩いてたわけ。黒ずんだ赤い絨毯の上を。たしか夜中の二時くらいだったから、電気の灯りもあってないようなもんでさ。経費削減の修学旅行だから、ホテルも電気代をケチってるんだよ。

　そうしたらさ、向かいから女の子が歩いてきたの。別のクラスの女子で、その子も、先生のところに行った帰りなんだって。部屋に行ったときに会わなかったのかって？　男性教師と女性教師で部屋が違ったんだよ。俺は男性教師、その子は女性教師の部屋に行ったってわけ。
　その子も、別の女の子を送った帰りなんだって。それで、一人で歩くのが怖いっていうから、俺がその子の部屋まで着いていくことになったの。

　その子が怖がらないように、他愛もない話をしながら歩いたよ。コホッ、コホッ、砂金採りが難しかったとか、親へのお土産は何にするかとか、そういうの。
　そうしたらさ、なんか、ブツブツ声が聞こえるわけ。