魔力0の物理バカ

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 バンッ——!  勢いよくドアが開く。  セントラル・アカデミー(兵士養成学園)の敷地の中にある地上36階建のビル。  その会議室に呼ばれたのは、私と、——もう1人。  「おっす!」  …おっす?  ハリネズミのようなツンツン頭に、おでこについた絆創膏。  日光浴にでも行くのかと思うほどラフな格好の腕には、日焼けした肌。  そして、何より…  待ち合わせ時間に遅れたことを気にも留めず、軽いテンションで「めんごめんご!」と手を合わす。  馴れ馴れしい口調に、チャラチャラした仕草。  今何時かわかってる?  口を開くのも面倒で、会話をする気にもなれなかった。  だから睨んだ。  正直、目を合わしたくもなかった。  私の嫌いなタイプの人間だったからだ。  人を見た目で判断しちゃいけないというが、こういう普段から何も考えていないような人間は、見ていて鼻につく。  …まあ、別に気にしなければいいのだけれど。  よりにもよってこの人が“パートナー“だなんて、幸先が思いやられるというか。  ソラ・アーケード。  Aクラスの推薦枠で入った、セントラル・アカデミー第18期性。  私と同じAクラスであり、同学年。  ただし、彼は学園でも有名だった。  それは彼の「能力」が、他の生徒と比べて異色だったからだ。  セントラル・アカデミーに入るには生まれ持った魔力と、戦闘に適した特性が求められるが、彼は「魔力」を一切持ち合わせていなかった。  もちろん、そんな人間は世の中にザラにいる。  魔力を持っていなければ、兵士以外の職を探せばいい。  ただ、どういうわけか、彼はこの学園に入学することができた。  ただ入学しただけじゃなく、“推薦”として。  
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