208人が本棚に入れています
本棚に追加
「岩見……」
「もう……これ以上まだ私に言わせるんですか?」
楓がそう言えば、美作は楓の手に自分の手を重ねた。
「うん……ごめんね。その通りだ」
「美作先輩は、時間を遡って来た私をたくさん助けてくれました。今の私は殺されていません。それでいいじゃないですか」
「いい……のかな。このまま俺が岩見のそばにいても」
「いいって言ってます。むしろ離れて行ったら恨みます」
「それは……困るなぁ」
楓が美作の頬から両手を離すと、今度は美作が楓の頬に両手を添えた。まだ赤い目は揺れながら楓を見つめる。
「俺は……もう間違えたくない。岩見が赦してくれると言うのなら、俺の一生をかけて岩見を幸せにすると約束する。だから……俺と結婚を前提に付き合ってください」
「はい……って、しれっと結婚まで付けたしましたね?」
「ずっとそばにいるのには一番これがいいと思ったんだけど……駄目かな」
眉を下げる美作に、楓は思わず笑ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!