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「ねぇねぇ。そういえば楓の会社の先輩の話聞かせてよ」
「美作先輩のこと?」
「そそ! 楓が仕事中に近く寄ったからってお店来てくれたときあるじゃん? あの時の美作さんかっこよくてさー。楓ともすごく相性良さそうだったよね」
「うーん。確かに仕事するには一番やりやすいかも」
そういう意味じゃないんだってーと笑う音羽は相当酔っている。向かいに座っていた蓮がわかりやすく眉を寄せた。
「楓、美作ってどんな人?」
「おいおい。蓮も相当酔ってんなー」
「陸人は黙ってろ! で? 彼氏がいるのにその男は一体……」
「はいはい。美作先輩は仕事で一緒になることが多いただの先輩です。私には蓮がいるのに他の人を見てるとでも?」
楓が頬を膨らませてみせると、蓮はわかりやすく動揺した。
「ち、ちが……オレは楓を信じてるし……」
「でも疑ってたよね? ……指輪もあるのに」
と、楓が左手の薬指を見せると陸人が飲みかけていたビールを拭き出した。
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