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――インターホンが鳴り、楓は笑顔で扉を開け、そして――
「いやぁぁぁ!!」
どうして忘れていたのだろう。
あの時、確かに楓は包丁で刺されて死んだ。
誰に刺されたのか、確かに犯人の顔を見たはずなのに思い出せない。
コツンと足先に当たったのは、刃先にべっとりと血が付着した包丁だった。
「ひっ……!」
後ずさりテーブルに思いきり体がぶつかった。スマホが床に落ち、画面が表示される。日付を見て、楓の思考は再び止まった。
「7月7日? なんで――」
楓が殺された日の1週間前に、時間が遡っていた。
わけがわからない。激しい動悸に胸を押さえながら、楓は今まで起こったことを思い出すべく目を閉じた。
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