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「ごめん。俺がやったことは結局、蓮さん達と同じ。岩見の気持ちを無視して自分の願いだけを叶えようとしたんだ。
こうして岩見と一緒にいられる時間が増えていくうちに真実を言えない罪悪感だけが膨らんでいった。
だから、岩見を殺した犯人捜しを手伝うと言って、岩見を囲んでいた蓮さん達を岩見から遠ざけたんだ。彼らがしていることはいずれ岩見を不幸にすると思った。
俺が岩見のそばから離れた時に、彼らが残っていたら俺は守れないと思ったんだ」
「離れてってどういうことですか?」
「そのままの意味だよ。俺は岩見と会うのは今日で最後にするつもりで来た。
俺の罪は裁かれない。この世界で岩見を殺していないから。
でも……この手にはまだ岩見を刺した時の感触が残っている。夜眠れば、あの日の光景を何度も見る。
……岩見だって俺に殺されたのを覚えているだろ? 傷が痛むって言ってた。
全部……俺が犯した罪のせいだ」
美作は自分の手のひらを見つめて強く握りしめた。楓も自分のお腹にそっと触れる。
目を閉じれば刺された時の映像が浮かぶし、ズキリと走るような痛みを感じる時もある。
けれど――
「……赦しませんよ」
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