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「だよね。当たり前だ」
「違います。美作先輩が私のそばから離れていくと言うなら赦しません」
「な――」
楓は俯いた美作の顔を無理やり上げさせた。両頬に手を添えて至近距離で美作を睨む。
「私、言いましたよね? 美作先輩が好きだって。その好きは全部……美作先輩が私を殺したことを含めてそれでも好きだという意味です。
殺しちゃうくらい私のことを好きだってことでしょう。だったらずっとそばにいればいいじゃないですか」
「そんな……そんなの普通じゃない。自分を殺した相手を側において怖くないの?」
「今さら普通なんて気にしちゃうんですか? 美作先輩も知っているでしょ。
私の元彼は私のことを所有物だと思っていたし、親友は彼氏を奪われて考えが歪んでしまった。幼馴染にいたっては私のことを家族だと思い監禁までしようとしてたんです。
そんな人達に囲まれていた私が普通だと思いますか? 本当はおかしな関係だと気付いていたのに知らないふりをしてたんです。
その私は、たとえあなたに殺された記憶があるとしても、そのあなたを愛してしまったんです」
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