8.Ⅹデーを越えて

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「岩見……」 「もう……これ以上まだ私に言わせるんですか?」  楓がそう言えば、美作は楓の手に自分の手を重ねた。 「うん……ごめんね。その通りだ」 「美作先輩は、時間を遡って来た私をたくさん助けてくれました。今の私は殺されていません。それでいいじゃないですか」 「いい……のかな。このまま俺が岩見のそばにいても」 「いいって言ってます。むしろ離れて行ったら恨みます」 「それは……困るなぁ」  楓が美作の頬から両手を離すと、今度は美作が楓の頬に両手を添えた。まだ赤い目は揺れながら楓を見つめる。 「俺は……もう間違えたくない。岩見が赦してくれると言うのなら、俺の一生をかけて岩見を幸せにすると約束する。だから……俺と結婚を前提に付き合ってください」 「はい……って、しれっと結婚まで付けたしましたね?」 「ずっとそばにいるのには一番これがいいと思ったんだけど……駄目かな」  眉を下げる美作に、楓は思わず笑ってしまう。
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