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「いいに決まってます! これからもよろしくお願いしますね?」
「ばーか! 当たり前だろ」
「もう、私は確かに馬鹿ですけどそんなに馬鹿じゃないですよ」
楓が抗議すると、今度は美作が声を上げて笑った。
美作の笑顔を見て、この選択をしてよかったと心から思う。
きっとこれから先、ふとした時に殺された日を夢見るだろう。無い傷が痛む日もきっとある。
そんな時、殺された恐怖を思い出し、犯人を恨んでしまうこともあるだろう。
楓がした選択はその犯人とずっと共に生きていくこと。普通じゃない。そんなことわかっている。
けれど、美作が隣にいない時がもう想像できないのだ。
(流れ星にしたお願い、叶った、のかな……?)
一度は叶わないと思った願い。信じていた人達に裏切られ、現実から目をそらさないと決めた結果は、寂しい結末。
でも、ここからだ。
あの日の願いとはかけ離れた新しい幸せの形がここにある。
「美作先輩、二人で幸せになりましょうね」
美作の背中に腕を回し、温もりを感じながら、楓は心からそう思うのだった。
了
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