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蓮の隣にいたのは親友の甲斐音羽だ。
人の波で見えなかったけれど、黒髪のボブに赤メッシュの美人はとても目立つ容姿だ。
音羽はショップ店員でいつもお洒落。学生時代は読モをしていたこともあり、スタイルも抜群だ。今日は、黒のオーバーシャツに短パンで細い足がのぞいている。
音羽は楓達に気づくと、蓮に腕を絡ませたまま、楓と陸人に笑顔で手を振った。
「おい、もう離れろって」
「ちょっとぐらいいいじゃーん。あ、楓ごめんね? 彼氏の腕借りてましたー!」
楓は少しだけモヤっとしたが、それを顔に出すことはしなかった。
音羽とは大学で同じサークルだったのがきっかけで仲良くなった。楓と陸人が幼馴染のように、蓮と音羽も幼馴染で、高校時代は付き合っていたとか。
そのせいか距離感が近く、お互いがそれに対して頓着がないのだ。
だから、ここで楓がなにか言ったところで微妙な空気になるのはわかっている。だから、仕方がないと自分に言い聞かせた。
「音羽、いくらなんでも感じ悪いぞー」
「だから謝ってるじゃーん」
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