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音羽に悪気がないのはわかっている。でも、なら蓮から断ればいいのにとも思う。
それをしないのは……
「楓、ごめんな」
「ううん。別に、気にしてないよ。行こ。お店の予約時間過ぎちゃう」
謝る蓮の左腕に自身の腕を絡ませた。なんとなく、音羽が触れていた場所には触りたくなかった。
「……妬いた?」
「そう思うならしないで欲しいな」
歩き出した楓に、蓮は耳を寄せた。軽く睨むと、何故か蓮は嬉しそうに微笑む。こんな顔を見ると確信犯じゃないかと思う。
だけど、この笑顔を見るとこれ以上怒れなくなるのも本心。楓は複雑な思いを抱きながらお店へと向かった。
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