お飾りの私を愛することのなかったあなたと、不器用なあなたを見ることのなかった私

P6 夢の逢瀬（おうせ）

　お料理も全てのメニューが心身に優しく味わい深い、素晴らしいものばかり。

　前菜は新鮮なレモンをたっぷりと振りかけたサラダとほうれん草とチーズの渦巻きパイ(ブレク)。
　サラダはシャキシャキとしたお野菜と爽やかなレモンの香りが食欲をそそります。ブレクもほのかな酸味と塩味が効いたフェタチーズに、ほうれん草の甘みが味わいを添えていて、いくらでも食べてしまえそうですわ。

　メインディッシュはムール貝とネギの白ワイン蒸しと、羊とヨーグルトをふんだんにつかった香ばしいソテー。
　ぷりぷりとしたムール貝はネギとの相性抜群で、優しい甘みと滋味が疲れた心を癒してくれます。
　コクのある羊のソテーはさっぱりとした蒸留酒(ラキア)との相性も抜群で、ついつい盃を重ねてしまいました。

　デザートは蜂蜜に漬け込んだナッツをふんだんに使った蜂蜜クルミパイ(バクラヴァ)と、茄子とイチジクの甘露煮(グリコ)にホイップクリームを添えたもの。
　グリコは良く冷えていて、ミントのきいたシロップともども、こってりとしたお料理を食べた後の口の中をさっぱりさせてくれました。
　バクラヴァも、ナッツの香ばしさと蜂蜜の甘みがコーヒーの苦みとぴったりです。

　どのお料理もあまりに美味しくて、わたくしはつい食べ過ぎてしまったのかもしれません。
　食べ終えた時には、何だかふわふわと、とても良い気分になっておりました。