P10 崇高な使命への目覚め

3/3

25人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
 ティコス男爵家から帰ると、今日も旦那様が早くお帰りでした。  しかも今日も夕飯を夫婦二人きりでとりたいとおっしゃるではありませんか。  夕飯の席ではプルクラ様とのお茶会がどうだったか、どんなお話をしたのか、いろいろと訊ねて下さいました。  新しくできたお友達がどんな方なのか気にかかるのだそうでございます。  お屋敷のご様子ですとか、飾られていた絵画や美術品、工芸品の様子まで訊ねられたのはさすがに驚きましたが。 「屋敷に普段から飾っているものは、その屋敷の住人の好みをそのまま反映するからね。あらかじめわかっていれば、手土産やおりおりの贈り物を選ぶ参考になるんですよ」  なるほど、こうおっしゃられると納得せざるを得ませんわね。やはり旦那様は思慮深くていらっしゃいます。  プルクラ様から教会の奉仕活動や孤児院への慰問に誘われたお話をいたしますと、少し考えてから「ぜひご一緒しなさい」とおっしゃってくださいました。  ああ、これでわたくしもプルクラ様のように惨めで憐れな人々を救う崇高な使命を果たすことができるのですね。  次に彼女にお目にかかれる日が待ち遠しゅうございます。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加