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「わかりました。その代わり、必ず侍女と護衛は連れて行ってください。貧民街は貴女が思うより治安が悪いものなのです」
しばしの思案の後に承諾すると、実に嬉しそうに慈善事業に積極的に取り組むプルクラ嬢がいかに美しい心の持ち主か力説し、彼女の美貌はその内面の美しさの現れなのだと主張しだしたので反応に困った。
無論まだ容疑の裏付けが取れていないので万に一つくらいは彼女が本当に心優しき慈善家である可能性も否定できないが、おそらくあの小娘は本気で慈善事業に取り組んでいる訳ではなかろう。
パトリツァが真実を知ったらさぞ落胆するだろうと思うと複雑な心境だ。
それにしても、あのティコス家の娘はこの短期間によほどしっかりとパトリツァの心を掴んだらしい。
その人心掌握術に内心舌を巻くとともに、こうやって相手の心を取り込んで洗脳していくのだろうと納得もした。
伊達に兄や父親をさしおいて犯行の重要な部分を担っているわけではなさそうだ。
これだけの手腕の持ち主を「ただの十七歳の小娘」と思ってなめてかかれば、痛い目を見るのはこちらの方だろう。
当分の間、パトリツァが彼女と出かけるたびによくよく様子を聞いて、もし道を踏み外しそうならば何をおいても諫めるしかないだろう。
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