おめでとうございます

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おめでとうございます

 オレは疲れ切ってリビングのソファに寝転んだ。  緊張の糸が途切れたようにグッタリだ。  相変わらず激しい雷雨が降り続いていた。    どれほど時間が経ったのか。  そういえばピザを玄関に置いたままだ。  中へ入れておいた方が良いだろう。  玄関へ向かうと不意にインターフォンが鳴り響いた。 「えェ?」誰だ。いったい。  こんな時間に。  まさか、警察ではないだろう。  こんなにも早くオレにたどり着くことなど不可能だ。  どうするか。戸惑っているとまたインターフォンが鳴り響いた。 「チィッ」仕方がない。  オレは玄関のドアスコープから外を伺った。  インターフォンを鳴らしているのは金髪のミュージシャンみたいな若い男だ。  見たこともないが、このまま帰りそうもない。 「ぬうゥ」  居留守を続けることも出来ないだろう。  仕方なくほんの少しドアを開けて対応した。 「ハイ、なんでしょうか?」  だが向こうから無理やり強い力でドアを開けられた。 「こんばんは!」  突然、可愛らしい美少女が目の前に現われ挨拶した。 「えェ、なんだァ?」誰だ。いったいこの子は何なんだ。  オレは面食らって彼女を見た。  まったく見たこともない金髪の美少女だ。 「おめでとうございます」  いきなりその美少女はペコリと頭を下げた。 「なにィ?」  いったいなにがめでたいのか、ワケがわからない。 「真犯人は!」  唐突に美少女は玄関のエントランスでダンスを舞った。  ミニスカートが翻って、まるでアイドルのようだ。 「な、なんだって?」  
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