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マリア(海野次生 version)
「いただきマンゴー」
ワケのわからないことを言ってマリアはピザを食べ始めた。
「おいおい」
さすがにビジュアル系弁護士は恐縮していた。真夜中に他人の家のピザを食べるなんて不躾にもほどがあるだろう。
「ああァやっぱ熱々の方が美味しいですよ。どうぞ海野さんも召し上がれ」
マリアはニコニコしてオレに勧めた。
「いやァ、オレは良いよ。後で、食べるから」
「どうして、当分、ピザなんて食べれないわよ」
マリアは美味しそうに食べながら微笑んだ。
「当分?」
「だって逮捕されたら取り調べ受けて、そのまま実刑で刑務所へ直行じゃん。ピザなんて十年くらい食べれないわ。ねえェシンゴ?」
「え、ああァ」ビジュアル系弁護士は渋々うなずいた。
「なんだって?」なんて失礼な子なんだ。
思わずオレは彼女を睨んだ。
「うッ」
いきなり美少女はうめき声を上げた。
「どうした。マリア」シンゴも心配そうに声をかけた。
「なにかジュースもらえますか?」
胸をトントンと叩いた。ノドにつかえたのかもしれない。
「はァ?」まったく図々しいヤツだ。
仕方なくオレはキッチンの冷蔵庫へ急いだ。
「おいおいマリア。少しは遠慮しろよ」
ビジュアル系弁護士はマリアをたしなめ背中をトントンと叩いた。
「ええェッと、コーラで良いかな」
冷蔵庫の中には缶コーラくらいしかない。
「えッ、シュパシュパしたヤツは苦手なの」
どうやらマリアは炭酸系は好きではないようだ。
「おいおい、贅沢言うなよ。ありがたく戴いておけ」
まるでシンゴは美少女の保護者のようだ。
「フフゥン、海野さんも食べれば。当分、ピザなんて食べれないんだから」
「あのですねェ。なんのことですか。さっきから失礼ですよ」
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