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「おー、お揃いお揃い」
すごく嬉しそうに笑う風子の横顔。
ドキッとした。
こんなにも……可愛かったっけ。
僕は思わずあさってのほうへ目を向けて、まぁ、これも風子のことをちゃんと理解していなかったせいだなーなんて思いながら、そのドキドキをごくりと飲み込んだ。
「どうしたの?」
「いや……、なんでもない。えっと、そうだ、写真撮ろうか。ちょっとシャレで」
「シャレ?」
「うん。風子、僕の後ろに立って」
「あ、なるほどっ」
クスッと笑った風子が、椅子に座った僕の左後ろに立って、肩にちょこんとあごを乗せた。
背景は窓の外の秋空。
スマートフォンのカメラを自撮りモードに切り替えて、ちょうど初めて『うしろの風子』に会ったときみたいに、画面にふたりの顔を映す。
「うんうん。こんな感じだったねぇ」
「さすがにあの不気味さは再現できないか。風子、もうちょっと『うしろの風子』っぽくして」
「なんですとー? 不気味とかひどーい」
そう言った風子は、なにやら僕の左隣に膝立ちになって、僕の腕をぎゅーっと抱き寄せた。
腕にちょこんとおでこが触る。
「なんだよ」
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