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すると女性の方がしかめ面をずいっとカメラに近づけて、不機嫌そうにマイクに話し掛けた。
『二日市警察署生活安全課少年係の諸田と言います。キミ、永岡光平くんっ?』
警察? なんで警察が来るんだ。
「えっと……、光平は僕ですけど」
『ああ、居てくれてよかった。キミ、今日、学校で桜台風子さんが階段から落ちたとき一緒に居たんだよね? ちょっと詳しい話が聞きたいんだけど』
「はぁ」
『ちょっと、出て来てくれない?』
どういうことだろう。
確かにあのとき、僕は桜台と話していた。
でも僕はなにもしていない。
突然、勝手に桜台が階段を踏み外して転げ落ちて来たんだ。
『ちょっと、聞こえてる? 開けてって言ってるでしょ?』
もしかして、これは夢じゃないのか?
玄関扉の向こうでは少年係の美人女性警察官が、言い方は優しいがいかにも不機嫌だといった声をけっこうな勢いであげている。
この警察官はたぶん、僕が桜台を突き落としたとでも思っているんだろう。
『開けてくれるかしら!』
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