プロローグ

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プロローグ

「いったいどこから入って来たんだ。ここは僕ん()だ。僕の部屋」 『ええっ? ここ(なが)(おか)の部屋なの? いやん、ちょっと待ってっ。あたしにだって心の準備がっ』  異変を感じたのは、家に帰り着いて部屋のドアを開けたときだった。  艶のあるフローリングには、傾き始めた陽光が描くレースカーテンの美しい波模様。  いつもの、僕の部屋。  その光景は、なんら普段と変わらない。  でも、そのなんの変哲もない日常の風景に感じた、ほんの少しの違和感。  僕は、もう一度部屋を見回して、そこが間違いなくいつもと同じ僕の部屋だということを確かめたあと、それからゆっくりと足を踏み入れた。  背後で小さく鳴った、パタンとドアが閉まる音。  やや蒸し暑い。  ふわりとカバンをベッドの上に放り投げて、制服シャツの胸元を開く。  今日はいろいろあった。  きっとさっきの違和感はその疲れのせいだなとひとりごちながら、僕はゆっくりと椅子に体を沈めて、ベッドの上へと足を投げ出した。  右手には、ポケットから取り出したスマートフォン。
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