呼吸のできない僕たちは

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「だってそうだろ? ずっと誰にも言えずに俺にさえも言えずにさ……しんどかっただろ」 「涼介、僕のこと……気持ち悪くないの? メイクで綺麗になることが嬉しくて誰かに承認してほしくてSNSとか……あっ……」 余計な事まで口走った僕を見ながら、涼介が興味深そうに僕を見つめた。 「お。SNSやってんだ?」 「な、んだよそれ、茶化さないで。僕の話聞いてる?」 「聞いてるし。俺は真央のこと気持ち悪いとか思ったことないし、これからも思わない、一生な」 そう言うと涼介が僕の頭の上にポンと手のひらを置いた。 「真央は真央。俺の中で真央は『特別』なやつに変わりない」 「特別……そんなの僕だってそうだよ」 「うん。嬉しい。てかさ俺には何でも言って?        あと何でも聞けば? 真央の話ならいつだってちゃんと聞くし聞かれたら真央にだけは全部言う」 「何だよ……なんかズルいじゃん」 「なにが? ……お、あったあった」 涼介がメイク道具を綺麗に片付けると、クローゼットの一番奥からグレーの枕を取りだした。 「えと、いつからそこに置いてたの?」 「わかんないけど、なんか真央の匂いすんな」 「えっ……」 「あ、いい意味な。ほら、隣どうぞ」 「……」 ククっと笑いながら涼介が枕を敷いてゴロンと横になるのをみて、僕も涼介の隣に寝転んだ。 そっと目だけで涼介の方を見上げればピアスだらけの左耳が見える。
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