呼吸のできない僕たちは

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「ほら、今日はお泊り会。お泊り会と言えばボーイズトークっしょ」 「ガールズトークみたいなノリやめてよ」 「いいじゃん、で?」 「えと……正直考えたことなかった……僕メイクするのが好きなだけでその女装したいとかなくて……恋愛もしたことないからわかんないし。今んとこ興味ないし。あれ、そう考えたら僕って恋愛対象? ないのかも」 僕は首を捻ると隣の涼介の返事を待った。 「へぇ、恋愛対象無いとか新鮮だわ」 「涼介は女の子でしょ」 「いや。わかんない」 「え? わかんない?」 はっきり言って涼介は間違いなくイケメンの部類に入る見た目をしている。奇抜な髪色に大量のピアスのせいで、強面に見えるが心根が優しく面倒見もいいし、一度約束したことは何があっても守る律義さもある。 なので当然、涼介は女の子から告白されることも多く、僕が知っているだけでも高校に入ってから七人以上と付き合っている。どの子とも長続きはしなかったけれど。 「これ真央にだけ言うけどさ。女と付き合ってても満たされねぇんだよな。俺、男が好きなのかな」 「ええっ?!!」 「いや知らんけど。女しか付き合ったことねぇからな。かといって男と付き合ってみるって言ってもそんな簡単に付き合ってくれる相手まわりにいねぇしな。なんか恋愛とか趣味とか性癖とか嗜好とかってムズイんだよ、俺にとっては」 「それはすっごいわかる」 「お、わかってくれんの」 「僕だってそうだもん。メイクが好きだけど、女装したい訳じゃないから。僕にとってメイクすることが、さっき涼介が言ってた欲求解放なんだと思う。できればメイクして外歩きたいって思うけど、恰好男で顔だけメイクバッチリってさ、そんなのチグハグすぎて周りの視線怖くて。だから隠すしかなくてさ」 僕の言葉を聞いていた涼介が枕の下で腕を組んだ。
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