呼吸のできない僕たちは

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「なんで……」 「夏終わったら本格的に進路決めて行かなきゃいかなくなる。真央のやりたいことってほんとに大学行って経済学、学ぶことかよ」 「それは……ほんとは僕だって行ってみたい……メイクのこともっと知りたいでも……」 「美恵さんに素直に言えば良いじゃん。あんな他人の俺にさえも無条件で愛情注いで、我が子のように接してくれる、でっかい愛情もってて肝座った人、何でも受け止めてくれる。わかってくれる」 「…………」 僕だって何度も何度も迷った。数えきれないほどに悩んで、何度も言いだそうか切り出そうか葛藤した結果が大学への進学だ。 「言えないよ……だって母さんは僕には普通に大学出て普通に働いて欲しいって思ってるから。きっと母さんにとって普通の僕が一番嬉しいから」 「ガチでそう思ってんならバカだな」 「え?」 「それは真央が勝手に思ってるだけだよな? 美恵さんに話しても聞いてもないのに勝手に決められて美恵さんもいい迷惑だと思わねぇ?」 「…………」 「真央の悪い癖だな。誰かの心に寄りそえるのが真央のいいとこだけど、肝心なときくらい自分優先しろよ。あと何でも思ってるだけじゃわかんない。言葉にしなきゃ伝わんない」 「涼介……」 「伝える努力は怠んな。てことで……」 涼介が布団の脇に置いていたスマホがブルッと震える。涼介が予約していたらしきアラームをさっと止めると僕の目を真っすぐに見つめた。 「さっきまでの言葉全部が半年後に真央の横に居られなくなる俺からの誕生日プレゼント」 (あ……) 「誕生日おめでとう。真央」
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