体重計

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 今まで使っていた体重計が壊れてしまったので、新しい物を購入した。とはいえ、本当はこんな物なんて欲しくはなかったのだけれど。  毎日毎日、乗るたび、自分の重さに嫌気が差す。それでも、だったらもう体重なんて気にしない…とはなれず、今日もお風呂上りに体重計に乗っている。  自分が太っているのは知っているし、色々とダイエット方法を試しているけれど、どれもろくに効果が出ないし長続きしない。  運動は好きじゃない。でも食べるのは好き。これで痩せたいって言うのは無理だよね。…それでも、細くなって綺麗になりたいと思ってしまう。  体重計に名乗り、表示される自分の重さを見る。  どうせ変わっていない…いや、下手をすれば増えている。そう思ったのに、何故か昨日より一キロも体重が落ちていた。  どうして?  食べる量は変わってないし、特に運動らしい運動もしていない…あ、今日は新しい体重計を買うために電気店を二つ、三つ見て回ったから、それが影響したのかな。  とにもかくにも、体重が減っていることを素直に喜び、私は体重計から下りた。  そして翌日。  不思議なことに、特に何もしていないのに私の体重はまた減っていた。しかも、毎日目に見えて体重が減っていく。  初めの内こそ、機械が壊れているのだと思っていたけれど、鏡に映る自分の姿は日ごとに細くなっていて、体重計の数字が嘘ではないことを証明していた。  理由は判らないけれど、私、痩せていっている。  毎日好きなだけ食べても運動しなくても、それでも体重が落ちている。  嬉しい。本当に嬉しい。 * * *  友達が栄養失調で倒れたのは半年前。  結構横幅のある子だったけれど、ある日を境に痩せ始めた。  それが羨ましくて、どんなダイエットをしているのか聞いたけれど、特に何もしていないと言うばかり。  でも、最初はいいなと思っていたけれど、その痩せ方は急激すぎて心配になった。  そしてある日、彼女は登校して来るなり教室で倒れ、救急車で病院に運ばれた後、ずっと入院し続けている。  過剰なダイエットによる栄養失調。その栄養不足が脳にまで影響し、点滴などで栄養を補給し続けている今も、昏睡状態から覚めないままだ。  結局、彼女がどんなダイエットを行っていたかは判らないままだけれど、あんなに急に痩せるなんて、きっと、体に障るものだったに違いない。  体型のことを気にしていたけれど、太っていても彼女にはたくさん魅力的なところがあるのだから、昏睡から覚めたら、もしまた太ってしまったとしても、二度と無茶なダイエットはしないで欲しい。 体重計…完    
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