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翌朝。お嬢様の褥を掃除していると、純白の敷布に赤い血がついておりました。
私自身、月のものが来ておりましたから、体の細いお嬢様にも遅い成長が訪れたのだと思い、気にも留めていなかったのです。
「お身体につらいところはございませんか。温かいお茶を淹れて参ります」
その言葉が、お嬢様の罪、いえ、お嬢様の身を襲った不幸を私に知られたのだと思われたのでしょう。
お茶を淹れて戻った時、お嬢様の姿は、もうお部屋にはございませんでした。
窓が開いて、カーテンが棚びいておりました。
旦那様は慟哭しながら、我が身の犯した罪を悔いておられるようでした。
……動物でさえ本能で忌避する行いです。動物で近親相姦を犯すのは手近に遠縁がおらず、子孫を残す必要性に駆られた場合だけのこと。
幼く稚いお嬢様、子孫を残すことのできないお嬢様。嗚呼、なんと悍ましい——。
人間とはなんと愚かで、なんと醜いのでしょう。
ですから、私は信じているのでございます。
お嬢様はあの小鳥の求愛を受け入れ、そして——。あの窓から飛んだのだと。
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