プロローグ

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 時計が14:00を告げる喫茶店。 「莉子(りこ)さん」 「なに」 「僕、莉子さんの事がずっと好きでした」  ガラスのティーポットで黄色い花弁がゆっくりと開きジャスミン茶が香り立った。 「蔵之介(くらのすけ)、私結婚しているのよ」 「知っています」  莉子は蔵之介の視線から左手の薬指をさり気無く隠した。  萩原 莉子(はぎわらりこ)(35歳)は 夫である直也(なおや)(35歳)と結婚し穏やかな日々を送っていた。 「行って来るね」 「俺も行かなくて良いのか」 「素敵なティーカップを見つけて来るから」 「気を付けて」 「うん」  莉子は結婚9年目の陶器婚を祝う為に骨董市にひとりで出掛けた。 「これ下さい」 「3,500円になります」 「そんなに安くて良いんですか」 「もう店じまいですから」  2客のティーカップを英字新聞紙で包み莉子を見上げた男性は初恋の人、雨月 蔵之介(うげつくらのすけ)(33歳)だった。 0c043742-6d40-4502-8b79-7d623493d348 読者アンケート第5弾 🌱当選者 鮭ムニエル様 からのお題です 🌱 *幸せな結婚生活 *初恋の男性との再会 *翻弄 ありがとうございます 鼻からスイカを生ませて頂きます 2024/05/26
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