Reave for a Life短編 Yukemuri winter

1/9
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
冬、寒さの本番が近づいて身を貫く寒さが本格的になってくる季節。 コート越しでも感じる気温の低さを体感しながら、私は足早に家路へと向かっていた。 「ただいまー」 「おかえり、宮古お姉ちゃん」 家に付くなり迎えてくれたのは金の髪と青い瞳の少女。 クリスマスの頃に色々あって今は私達の妹分となっている同居人、ノエルは私の姿を見るなり近くまで寄ってきた。 「ノエル、いい子にしてた?」 「うん、おばさんがいなくても大丈夫だったよ」 「そっか、いい子いい子」 手を伸ばして軽く頭をなでる。 ノエルが何かするたびにこういう事をするのが恒例になっている。 勿論いい事をしたこと前提だけどノエルが悪い事をするのを見た事ないし、このくらいで機嫌がよくなるなら安いものだ。 「ねぇ宮古お姉ちゃん、今日のご飯なに?」 「うーん、寒くなってきたしお鍋とかどうかな?」 「お鍋!暖かいから好き!」 「そうだね、さて冷蔵庫に何が残ってたかな」 冷蔵庫のあまり物でも作れる手軽さと作りやすさが鍋物の一つの醍醐味。 幸いにも中には切り残された白菜や人参、手を付けられてない豆腐や大根もある、でもこれだけじゃ物寂しいからお肉も欲しいか。 千種おばさんも「鍋物にお肉無いのは寂しいよ!!」というのは目に見えてるし、これだけは買っておこうかな。 (って、メモ書き?) 出かけようと冷蔵庫を締めようとして、改めてドアに貼られていたメモを見つけた。 そこにはおばさんの字で何かが走り書きされていた。 【今日お風呂が壊れちゃって、明日には直ると思うけど今日はお風呂屋さんに行ってね♪】
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!