Reave for a Life短編 Yukemuri winter

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家を出てすぐの商店街、品ぞろえのいいスーパーからお菓子の専門店、学生向けの食堂や銭湯などが立ち並ぶある所の魔窟は夕方になっても活気に満ちている。 むしろこれからが商売の本番と言わんばかりに道行く人も増してくる。 これからもっと増えるだろうことを考えると早めに出たのは正解だったかもしれない。 「寒いー、手がちべたい」 「そうだね、今度手袋買わなきゃね」 ノエルは小さい手をこすり合わせたり息を吹きかけたりして暖を取っている。 子供用の手袋なら安いし、時期のセールでもしてるだろう、その時に行くとしようか。 そんな風に考えながら歩いていると目当ての銭湯が見えてきた。 つい最近できた銭湯で夜遅くまでやっているのとお風呂の種類が目玉らしい。 そしてその前に見知った影が二人ほど見えた。 「あれ?東雲にノエルちゃん?」 「おいおいどうしたんだ二人とも」 私の親友の禊萩蓮と伊吹翔だ、二人ともここに来ていたのか。 意外と言えば意外だ、こういうのに頓着するようには見えなかったし。 「それはこっちのセリフだよ、二人ともどうしたの?」 「いやそこでばったり出くわしてな、蓮もここの風呂屋目当てらしい」 「伊吹お兄ちゃん、蓮お兄ちゃん、こんばんわ」 「こんばんわ、ノエルちゃんも久しぶりだね」 「今日はカエルのお友達は居ないの?」 「彼は家で休養中だよ、また東雲の家に行くときに見せてあげる」 「わーい、二人のお話大好き!」 「そう言われると照れるぜ」 「ありがとうね、今度ノエルちゃんの分も用意しておくよ」 3人ともなんだか楽しそうだ。 まったく、蓮も伊吹も心をつかむのが上手いんだから。
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