Reave for a Life短編 Yukemuri winter

6/9
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
一通り全部楽しんだ後、元々使っていた櫓の湯に肩まで浸かる。 ノエルはと言えばジャグジーやジェットバスを一通り楽しんだ後、電気風呂でやらかしたらしく同じように櫓の湯で電気風呂をジト目で睨んでいた。 「電気風呂きらい、まだ手がシビシビする」 「それはノエルが悪いよ、注意書き書いてあったでしょ」 「読めなかった、もう入らない」 まぁこれもいい経験だ、大きくなったらまた入りたくなるかもしれない。 実際私は普通に入れたし、気持ちよかったのも事実だ。 「それにしてもお客さんも結構いるな、ノエルこっちおいで」 「はーい」 時間も遅くなってきたのか、私達と同じように家族連れや仕事上がりのOLさんらしき女性もここに来ていた。 軽く会釈をしながらそれぞれ思い思いの湯に向かう。 これからゆっくりと浸かり、身体を癒していくのだろう。 「…………」 「ノエル、どうかした?」 「宮古お姉ちゃん、おっぱいちっちゃい」 キレた、私の中で何かがキレた、決定的な何かがブチって音と共にキレた。 口は禍の元、言わぬが花という言葉がある事を思い知ってもらおう。 「ほー、そんな事を言うのはこの口かー、だいぶ言うようになったじゃないのー」 「いひゃいーひゃめてー」 ノエルのほっぺたを軽くつまんで引っ張る。 うわ、すごい伸びる、餅みたい、なんと羨ましい。 軽く引っ張りまわして堪能した後手を離して叱る。 「ノエル―、そういう事を言っちゃいけない人もいるの。わかった?」 「はい、ごめんなさいー」 「うん、わかればよろしい」 ノエルもノエルでほっぺたをこねくり回しながらじーっとにらんでくる。 機嫌を損ねちゃったのは仕方ない、元はと言えばノエルがいらんことを言うのが悪い。 とはいえアフターケアは必要だし、後でアイスでも買ってあげるとしようか。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!