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絶対幸福空間
現実と仮想の世界で生きる人たちは、それぞれで違う顔を持つ。誰もが表と裏の顔を持っている。
ネットの世界に住む。それが何なのか想像もつかない。いつから現実から目を背け、仮想の世界へと逃げる人が増えたのだろうか。そんなにその世界が心地いいのか。その世界で暮らすことが偉いのか。
ネットから隔絶された社会にやってきたのに、むしろここに来る前より考え込んでしまう。
現実はとっても良い場所なのに……、彼女はどうして理解できなかったのだろう。
だから私は、この社会から出た後、彼女に教えてみたい。
いや、教えることはできないな。ただ私は、彼女にも同じ経験を通してこのネットから遮断された社会の素晴らしさ、ひいては現実の尊さを知ってもらいたいだけ。
これは別に復讐じゃない。むしろ感謝さえしている。だって私は、彼女のおかげでこの社会に来れたんだから。彼女のことを理解しようとしなかったのは、私の反省すべき点だ。
だからこの社会に来たとしても、彼女の大切なネットの世界を壊すつもりはない。
私なりの、愛の形。待っててね、もうすぐ届けるから。
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