断罪の勇者

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 天狼624年・冬  魔王討伐の命を受け4年、勇者カオス・ジュエインは最果ての廃城、絶獄にて魔王と邂逅する。  互いの力が互角などという奇跡は存在しない。全力でぶつかり合い、ほんの僅かでも力の勝った者が勝利する。そんな熾烈を極める戦いだった。 「魔王よ、勝敗は決した。何か言い残す事はないか?」 「……私を殺したところで、人々から恐怖は永劫に拭えぬぞ」  魔王の首元に突き付けたジュエインの剣がピクリと反応する。 「その意味に気づき、知りながらここまで辿り着いたというのか。長く辛い旅路であったであろうな」  そう言葉を残した魔王は眠る様に瞳を閉じた。その意図を汲み取り、ジュエインが首を撥ねようとした時、物陰から囁くような声が聞こえ、刃を止めた。
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