センベツノウタ

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 事件が収束してしばらくしたある日、わたしは歌声を聞いた。窓を開けていないのに、頭の中に直接響いてくる美しい声。振り返ると、そこには白い衣装に身を包んだ女の子がいた。背中には翼が生え、足は宙に浮いている。全身がぼんやりと光を放っていて、彼女が人知を超えた存在だと瞬時に悟った。 「わたしはこの星の管理者です」  彼女はほとんど唇を動かさずにそう言った。 「あなたは歌声を聞きましたね?」  歌声を聞いたものは消えてしまう。わたしは体が震えて答えることが出来ない。 「わたしの仕事は人類の選別です。人類はこの星の生態系において最も調和を乱す存在。我々が適切に管理しなければ星を壊しかねません。一度目の選別は完了したのですが、後処理の手違いで歌声が発動してしまいまして、こうして個別に対応しているのです」
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