3人が本棚に入れています
本棚に追加
「……センベツ?」
「そう。人類にこの星で生きていく権利があるか、見定めるための選別です。一定の基準以下の個体を取り除き、経過を見守ることになったのです」
「わたしも、消されるのですか」
わたしは恐ろしくて、そう聞くので精一杯だった。
「消すのは記憶だけですから、安心してください。あなたはまだ、対象ではありません。今はまだね」
彼女はそう言うと、わたしの目をじっと見つめた。その吸い込まれるような青い瞳から目を離すことが出来ない。
「次の選別は、十二年後です。それまで、どうぞ良き人生をお送り下さい」
頭の中から、今見たことが塵のように吹き飛んでいくのがわかった。わたしはこのことを忘れ、普通の生活に戻るのだ。まだ生きていけることは素直に嬉しかったが、この事実を忘れたくない。わたしは全てを忘れてしまう前に、心の中で強く念じた。
最初のコメントを投稿しよう!