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追いついて、門衛と併走しながら、説明を聞いた。
「都市城壁の居住塔に男が人質を取って立てこもってましてね、それでわたしたち門衛と治安部隊が対応しているのですが……接近した連中は返り討ちに遭って、手を出せないでいるんです」
「返り討ち、って――みなさんご無事なのですか?」
「今のところは、生きていますがね。傷の深い者もいて予断を許さない状況です」
「弓や槍のような遠間の武器が使えないということは、人質を盾にしてるってことですね」
「ご推察の通りです。剣を遣う者も、斬り込んだ刃の先に人質を突き出されるものだから、あわてて引っ込めたりして。そうやって、ためらているところを、逆に斬られるということの繰り返しです」
「ほんと、卑劣なアホですね!」
「マヒワさん、お口が……」
「あたし、いま、とても機嫌が悪いんです!」
こわっ……、と門衛がつぶやくがマヒワには聞こえていない。
やがて、事件の起こっている城壁が見えてきた。
マヒワは素早く周囲の状況を確認した。
コエン先生の教えの賜物である。
城壁の高さは三階建ての屋根の高さくらいで、城壁上部の歩廊は狭間付きの胸壁になっており、居住塔への出入り口はこの歩廊だけだった。
そして、城壁に上がる階段のそばに、大きい水槽があった。
「あの大きい水槽はなんですか?」
「あれは城壁の歩廊や居住塔の屋根から雨を集めて溜めておく水槽です。たまり水なので、生活用水には向いていませんが、消火活動に使ったり、近在の者たちが畑の水やりにしています」
「深いのですか?」
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