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もう片手は後方に伸ばして、鎌でオハムのからだをなぎ払う構えをとっている。
オハムの突き出した棒の先は、ほんのわずかに方向を変えて、犯人と男の子の間に滑り込んだ。棒の先は螺旋を描きながら、こじ開けるように食い込んでいく。
たまらず犯人は人質を放した。
犯人から放たれた男の子を、マヒワが抱き寄せた。
マヒワは男の子と犯人との間に割り込むように入った。
鎌が伸びてきたら、剣を抜いて叩き落とすつもりだったが、その必要はなかった。
マヒワが顔を向けたときには、オハムは犯人を完全に棒で絡め捕っていた。
犯人の手にしていた長い鎌も一緒に絡めている。
オハムの絡め技は、マヒワが棒術の修練場で見せてもらったガラム師範の技よりも、遙かに疾く、そして美しかった。
――すごい! 芸術だわ!
マヒワの、武術家としての純粋な想いであった。
くやしいけど、感動した。
そのような感動を受けたことは、おくびにも出さず、男の子を抱きかかえると、母親の元に運んだ。
母親は介抱していた隊員の腕から離れると、よろめきながら男の子に近づいてきた。
「大丈夫? 立てる?」
マヒワが男の子に囁くと、「うん」というしっかりした答えが返ってきた。
マヒワが男の子を床に下ろして立たせた。
母親が男の子をしっかりと抱きしめた。
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
母親は泣きながら何度もマヒワに礼を言った。
「お母さん、あたしだけじゃなくて、ここにいるみんなでちからを合わせたんですよ」
マヒワが母親が立ち上がるのを手伝いながら言った。
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