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 マヒワは反射的に剣をキラリと抜いて、顔の左に立てた。  迫りくる攻撃に対して、剣の側面に左の腕を添えた。  鼓膜が破れるような金属音。  マヒワのからだを強烈な衝撃波が貫いた。  思わず顔をしかめて耐えると同時に、剣を少し傾けて棒の力を外に流す。  棒は直ぐにたぐり寄せられ、連続の突きに変化した。  突きはすべて剣で受け流してはいるが、その衝撃の一つ一つは、からだを貫いた。  思考するゆとりなど全くないほどの連続攻撃がマヒワを襲う。  いままで経験したことのない、巧みな変化技だった。  剣を持つ手がゆるければ、絡め取られてしまう。  かといって、強く持てば、打ち込みの衝撃に耐えられない。  マヒワは、全身の感覚にからだの動きを任せて、何とか防ぎきっているが、反撃に転じることができない。  ――体力のつきたほうが負け。  マヒワは防ぎながら、じりじりと胸壁のほうに押されていった。  オハムの打撃は、さらに激しさを増した。  その攻撃を受けるたびに、マヒワのからだの芯に衝撃が伝わった。  衝撃を感じながら、マヒワは自分のなかで何かを掴めそうだった。  衝撃のが強いときと、衝撃の弱いときの違い。  おそらくオハムは、同程度の破壊力を持った攻撃をしてきているはず。  ――ならば、この違いは、どこから?  ひとつ――自分のからだの軸をぶれさせないこと。  からだの軸を強固にしていれば攻撃をいなせるが、からだの軸が弱いと飛ばされそうになる。  ――ならば、
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