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しかしながら、オハムが面白がって、ライラの口ぶりを真似て話しかけてくるのには、いちいち腹が立った。
「オハムくんには、棒を構えて立ってもらいます」
「ほう?」
オハムは新しい鍛錬に期待を膨らませた。
「それをあたしが、馬に乗って、射かけます」
鍛錬内容を聞いて、オハムの顔面が引きつった。
「オハムくんは、飛んでくる矢をすべて、はたき落とすことができたら、本日の稽古は終了です」
「本気か?」
「あたしは、かわいい弟子を殺すようなことはしませんから、ご安心を」
というマヒワの眼は笑っていない。
「さぁ、さぁ、配置について」
と有無を言わさず、弓矢を手に取って、テンに乗った。
もちろん、矢は鏃のない練習用のものだ。
当然ながら、当たれば打撲の痕は残るし、眼に当たれば失明する。
マヒワは、急所を外すが、からだには当たるように射かけていく。
いったん大きく距離をとり、駆け寄りながら、弓を引いて矢を放っていった。
最初のほうは、からだに当たる矢もあったが、オハムはコツを掴むのが上手く、すぐに余裕を持って叩き落とすようになった。
それを確認すると、マヒワは二本同時に矢を放つことをした。
オハムは、一本だと思っていたら、二本飛んできたので、逃げた。
「こらーっ! 逃げるなーっ!」
マヒワは逃げるオハムの背中に、矢を当てた。
オハムはもんどり打って、地面に転がった。
「背を向けて逃げたら、死ぬ確率が増えるでしょ!」
マヒワは馬上から、地面に伸びたオハムを怒鳴りつける。
「いや、いや、これ、剣術じゃないし!」
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