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 マヒワは冬の寒い時期を家で過ごしたのち、再び廻国修行に発った。  もっと早く出発する予定だったが、あの仕合の勝利のお祝いと称して、マガンに縁のある武術家たちが引っ切り無しに屋敷を訪れてきたので、延び延びになったのだ。  マガンの隣にマヒワが座り、訪れた客から似たようなお祝いの口上を延々と聞いていた。  ――立派になられてとか、逞しくおなりになったとか、貫禄がでてまいりま したねとか……、十代の女性への褒め言葉ですか、それ!  と、吠えたいところだが、ぐっとこらえて、愛想笑いで顔が引きつるほど、耐えに耐えた。  そのあとはお決まりのように、宴席が設けられ、主賓であるマヒワは当然ながらいちばん上座に座らされて、逃げることもできない。  おかげで、胃腸の調子が悪くなり、体重が増えた。  もちろん修練場に顔をだして、からだを動かしているが、稽古での消費量より、栄養の摂取量のほうが遙かに多い。  ――ここにいたら、宴会で殺される。  身の危険を感じたマヒワは、「思い立ったが吉日」と、ただちに廻国修行に出立することにした。  アッカに泣きつくと、あっさりと承諾してくれた。 「あたしも疲れたわ……」  アッカは射貫くような視線で、酒杯を傾けて談笑するマガンとバンを睨んだ。  今回の廻国修行にはスイリンが随行していた。  バンのことを心配したが、もうあちこちに出歩き始めているらしく、放っておいても大丈夫とのことだった。  前回の廻国修行では、わざわざ大回りをしたが、今回はロウライまで最短距離で移動しているので、修行らしい修行をまだしていなかった。
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