<6・ぶち壊せ、予定調和。>

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<6・ぶち壊せ、予定調和。>

「ああああああああああああああああああああああああん今日も可愛いわウンディーネちゃあああああん!」 「ありがとうございますお妃様ぁああああああああああああ!」  すりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすり。  ほおずりしてくるお妃様に、ウンディーネは笑顔で答える。お妃様は大好きだ。自分のことを実の娘以上に可愛がってくれるのだから。元々女の子が欲しかったのに、長女のアナスタシアと折り合いが悪いから余計に溺愛してくれるのだろう。  今日は、なんといってもウンディーネが主役の日。  集まってきた客たちみんながウンディーネを愛し、目立たせ、褒めたたえてくれる最高の誕生日だ。この日に向けて、せっせとムカつくやつらをみーんな牢屋に投げ込んでやった甲斐もあったというもの。  パーティ会場にいるほとんどが、ウンディーネを肯定し、味方してくれる者達ばかり。まあお妃様の覚えが愛でたい自分に歯向かえるような馬鹿もいないということなのだろうが。  唯一懸念があるとすれば。 「おめでとう、ウンディーネ。……ああ、エディたちも来られたら良かったのに」  王様だけが、ちょっとしょんぼりしているということ。  玉座に座り、どこか疲れたように肩を落としている。やはり、実の息子が暗殺を企てたというのが信じ切れていない様子らしい。 「エディは優しい子だ。やっぱり、きちんと話を聞くべきだったんじゃないのか。いきなり投獄だなんて、そんなの法律的にも……」 「まあ!何言っておりますの陛下!」  ウンディーネは思わず声を上げる。いくら彼が気弱でお妃様のお尻に敷かれているタイプの王様だったとしても、ここで彼に日和られては困る。国の実質的な権限は、やっぱり王様本人が一番強いことに変わりはないのだから。 「エディ王子は、陛下を暗殺しようとしましたのよ?きちんとお話を聞くなんて、生ぬるいことをなさってはだめ!反逆者は即死刑でもおかしくないところ、投獄で済んでいるのが最大級の慈悲ではありませんの。野放しにしていたら、今度こそ王様の御命が危ないですわ!」 「し、しかしウンディーネ……!」 「陛下には、わたくしがおります。実の子供以上に、わたくしが王様とお妃様を、他の王子や王女の皆様をきちんとお助けしますわ。それで何も問題ないでございましょう?」 「う、うむ……」  ほれみろ、この草食系め。
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