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「カリーナ。彼女を殴らなくて良かったのかね?」
「んー」
駆けつけた憲兵に引っ張られていくウンディーネを横目で見つつ、カリーナは肩をすくめた。
「ま、機会があったらそうするわ。今はみっともない姿で尻餅つかせてやっただけ上出来よ」
「それは優しいことだ」
「ええ。……それはそれとして。エディ王子」
彼らが協力してくれなければ、この計画の成功はなかった。あのプレゼントだって、ギリギリのところでガルフィが警備兵を脅してくれなきゃ誤魔化せなかったところである。
「ここまで協力して下さり、誠にありがとうございました。おかげで私は救われました。……私の命は、王子のものです。いかようにもお使いください」
なるべく丁寧な言葉で忠誠を示し、ウンディーネは王子に跪いた。あの女に一泡吹かせてやった、それで充分だ。
できればロンの元にメイドとして戻りたいが、王子の命令があるならばいかようにでもするつもりだった。
しかし。
「そんなにかしこまらなくても良いというのに。……では、そうだな、一つ頼み事をさせてもらおう、カリーナ」
これはさすがに予想外だ。そう。
「わたしの妻となってはくれないか」
「……!?」
カリーナの前に座り、カリーナの手を取って甲にキスを落としてくるエディ王子。
数秒後。理解したカリーナは、ゆで上がるほど顔を真っ赤にしたのだった。
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