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「わかりませぇぇん!侯爵家のご子息に可愛いねーって褒められて頭撫でられてたら、怖い公爵家のお嬢様にすごい目で睨まれていつのまにかお嬢様の悪口言ってたことになってたんですううううう!」
「……うおーい」
これは。
ひょっとして、ひょっとしなくても。
「その侯爵家のご子息ってのはロン様って言うんじゃなくて?でもってそのこわーい公爵家のお嬢様はウンディーネって言うんじゃ……」
「はれ?なんでご存知なんですか?」
やっぱりかーい!とカリーナはツッコミチョップをかましていた。そのままエディ王子とガルフィの方を向き直る。
「つかぬことをお伺いしますが王子様?アナタ、ウンディーネとかいういけすかないお嬢様を振ったことがあったりとかします?」
「振るもなにも」
エディは困惑したように言った。
「ウンディーネはわたしのいとこだぞ?法律上可能でも、実の兄妹同然に過ごしてきた人とお付き合いなどできるものか。これからもいとことして健全な関係を築こうと誠意を持ってお伝えしたまで」
「あ、ちなみに俺が投獄されたのは、そのエディ王子を庇ったからだな!同じく王様への謀反を共謀したと思われたようだ」
「お、おう……」
それはつまり。
――ここにいるのは全員、ワガママお嬢様ことウンディーネに嫌われて、国家反逆罪を捏造されたってこと?
酷い。あまりにも、酷い。
ていうか、お嬢様の無茶苦茶すぎる注文が通ってしまっていること自体が酷い。
「……私も多分だけど、ロン様に良くして貰ってたから嫉妬されたのね。つーか婚約者のウンディーネ様があんまりにもあんまりな性格すぎて愚痴聞きしてただけだっつのに!」
「えええええ」
三人からドン引きした声が漏れた。そりゃそうだろう。これから死刑にされそうだというのに、理由があまりにも理不尽すぎる。
「オッケー、わかったわ」
ばこん!と思い切り壁をぶん殴って、カリーナは宣言した。
「皆さん、手を貸してくださいな。……あんの馬鹿女、ぜってー一発ぶん殴る!みんなでここから脱獄してみせるわよ!!」
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