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まずは、落ち着いて状況確認するべきだろう。
「いーけいけーなっくらー!そーれそれライナー!池ポチャしてもーずんどこしょー!誰彼問わず―、マヨネーズの里ー!そーれ、それそれそーれ!」
一体それはどういう意味なんだ、と思うような謎の歌詞を歌いつつ、見回りの兵士が檻の前を通り過ぎていく。カリーナは目を細めた“ナニアレ”と呟いた。
「なっくらー?マヨネーズの里ってどこよ?変な歌すぎ……」
「あれはケチャップ戦隊マヨネーズの歌だ。最近王族貴族の間で流行している」
「ケチャップなのかマヨネーズなのかはっきりしなはよ!むしろその二つはライバルとして登場してもいいくらいでしょーが!」
わからない。なんでそんな謎戦隊が流行ってるのかさっぱりわからない。カリーナのツッコミに、エディは真顔で答えた。
「仕方あるまい。空飛ぶマヨネーズがかっこいいんだから」
「飛ぶの?ねえなんでマヨネーズが飛ぶの!?」
「ちなみにライバルはキノコだ。大量の毒キノコをマヨネーズで駆逐する話なんだ」
「なんでキノコなのよ!?マヨネーズで駆逐ってどうやって!?」
駄目だ、突っ込みが追いつかない。カリーナは頭痛を覚えつつ、とりあえず、と口を開いた。
「今のアホな歌はいっぺん忘れるとして。……見張りの兵士は、二時間に一度しか牢屋の前を通らないみたいね。しかも変な歌歌ってたり踊ってたりするから、牢屋の中をちゃん確認している様子もないわ」
そう。
見回りの頻度は重要なのだ。それこそ頻繁に牢屋を覗いて様子をチェックしてくるようでは、自分達の企みがバレてしまう可能性が高い。逆に見回りがいい加減だったり手緩いのであれば、打てる手も増えることだろう。
現状、兵士たちのチェックは相当甘いと見て間違いない。正直そんなんで見回りになってんの?とツッコミたくなるレベルだ。
とはいえ派手な騒動が起きれば生温い連中も気づくだろうし、いつも適当なチェックしかしてこないとは断言できない。念入りに様子を確かめてくる時もあるかもしれないとら思っておくべきだ。
――そもそも論として、王子様をとっ捕まえてるむてのになんで警備がヌルいのか謎よね。普通、こう、もっと警戒しない?
それとも、兵士たちはここに捕まってるのがエディ王子だと知らないのだろうか?さすがにそんなことはないと信じたいところだが。
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