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お手々ですくって飲みました
そんなことが続き、若干保田も慣れてきていた、夏のある日のデイサービスフロア。
「保田さん、ちょっと!」
ケース記録を作成している保田に呼びかけているのは田中だった。フロア内はエアコンの効きが悪く、職員たちは汗だくで仕事をしていた。
「何?暑苦しいよ。昨日も風呂入らなかったでしょ?猛烈に臭うよ?」
「あの、保田さんに聞きたいことがあります。今日、あの白メガネと出勤されてましたが仲良くなったんすか?」
いつになく真剣な顔で聞いてくる田中。今日は赤澤に、車で職場まで送ってもらったのを見られてた…かなりまずってしまった。しかし、臭い。
「保田さんが白メガネに食われたって、もっぱらの噂なんですが…… 本当すか?」
!
やばい、バレてるし。いや、落ち着け。そんなはずはない。会社ではあいつとほとんど話してないし、車で送ってもらったのだって今日だけだ。
保田は極力落ち着いて言った。
「ま、全く、何を言い出すかと思えばくだらないこと…そんなことより、昨日提出した書類が間違ってたから後で一緒に確認しよう」
焦っているであろう先輩は、臭気の元に業務終了後少し残りなさいと伝え、パソコンに視線を戻した。
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