あなほりくまのこ

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あなほりくまのこ

 15分ほど乗ったタクシーは、住宅街に入っていっていた。そろそろですと、赤澤は財布からカードを取り出し、支払いを済ませた。  「あの、私、払います。さっきの会計も折半してくださいね」  保田がそう言うと、いやいや俺が強引に誘ったんだからここは出させてくださいと譲らなかった。  タクシーを降りると大きな一軒家が目の前に現れた。赤澤はこの家の扉を開け、畳の部屋へと案内した。    保田が、ここに1人で暮らしているんですか?と聞いてみると、そうなんですと答えながらキッチンと畳の部屋を行き来しながら、ビールや日本酒、ウイスキーとおつまみまで持ってきた。じゃ、とビールとハイボールで乾杯した。赤澤はワインを1本空けた直後だというのに、ゴクゴクとビールを飲み干していた。連動して保田もハイボールを半分飲んでいた。    「あの、なんで僕を飲みに誘ってくれたんですか?」  保田は赤澤のコップにビールを注ぎながら聞いてみた。おっとと、ありがとうございますとお礼を言ったあと、赤澤は話し始めた。  「実は俺、保田さんの握り飯を食べた時に直感したんです。こんな美味しいもの作れる人は絶対いい人だと。ホントにお礼ですそれだけです」  ふぁ〜と欠伸をし始めた保田を見て赤澤は、眠いですか?ちょっとまっててくださいねと言って押し入れを開けた。そして、布団を敷いてくれたのだった。  「どうぞ寝てください。シャワーは朝浴びれるように準備しておきますね」  保田はありがとうございますと言って布団に入った。シャワーできなかったのは若干気持ち悪いが、もう眠気が勝っていた。
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