お手々ですくって飲みました

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 業務終了後、2人は奥の相談室で机を隔てて座っている。  「…という感じで、もう少し具体的に詳しく書いてみなさい」  はぁ、と俯き気味で返事をした田中。いつになく暗い表情に見えた。保田はさりげなくさっきの話を聞いてみた。  「で、さっきの白メガネの話だけど、そんな噂流れてるの?」  はいと、田中が保田の隣に移動し、にじり寄ってきた。  「3階の総務の人から聞きました。2人は毎週会っていると。やっぱり本当なんすか?」  臭い。なんてこの状況では言えず、いやまぁその何ていうか…と、はぐらかしてしまった。こういう場面で嘘のつけない保田は正直者だった。  田中は真剣な顔でその大きな顔を近づけてきた。  「そんな!俺イヤっす!保田さんは俺のものっす!」  え?どういうこと?と思ったのもつかの間、ブチューっと保田は唇を奪われた。頭がパニックになっている先輩を激臭が襲う。  窒息しそうになりながら、何とか口を離し、体を引き離そうとするが、この巨体を動かす力は持ち合わせていなかった。そのまま床に倒されて、上からのしかかられていた。  田中落ち着け!1回離れてくれ!と言いたかったが、猛烈な口臭、腋臭、汗臭さなどが合わさり、保田はついに気絶してしまった。  動かなくなった保田を見てやばい死なせてしまった!と混乱している田中は、部屋を出てビルのエントランスへ走った。そこには、たまたま通りかかった赤澤がいた。
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