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保田は見たことのないワインを飲みながら、話を聞いていた。仕事の話をされるんだろうなぁと構えていたが、案外そんなことはなく、実家の話や趣味の話、学生時代の話などをしていた。
栄養失調だったというわりに、赤澤の紺色のポロシャツから出た腕にはほんのりと筋肉がついていた。
「あの赤澤さん、栄養失調で倒れたわりに、筋肉ありますよね」
「あ、はい… あんまり大きな声で言わないで下さいますか… 恥ずかしいので…」
赤澤はキョロキョロと辺りを見回し、苦笑いしながら、口の前に人差し指を立て、続けた。
「僕の場合は炭水化物が足りなかった様で、急に目眩がきたんですよね。でも、毎日筋トレはしてるので自信はありますよ」
触りますか?と腕を立て、目の前に持っていったが、保田は丁重にお断りした。
こうやって話していると、この白メガネ、35くらいには見えるなと思っていた。髪の毛は若干白髪がまじり、瞳の奥は何を考えているかわからなかった。肌は若々しく見えたが、いわゆるイケメンという感じではなく、芸人顔という感じだった。
お酒も進んできた時、なんと2人とも40歳だったことが発覚した。
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