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2024年1月1日。
日本でついに、安楽死が合法化された。
国が指定する医療機関に、たった10万円を支払えば……苦しむことなく死ぬことができる。
安楽死制度が可決されニュース速報が流れると、人々は一斉に首を傾げた。
果たして必要な制度なのか?
不必要に死を選ぶ人が増えるのではないか?
命の価値が下がるのではないか?
ネット掲示板やSNSは荒れに荒れ、日本はどこか不穏な空気に包まれていった。
不必要な制度? 簡単に人が死んでしまう?
俺からしたら、それらの意見は安直で愚かな、本質を捉えられていないクソな意見だ。
この世には、生きたくもないのに生きている人間だっている。
俺のように。
だったら自殺すれば、なんて正論は聞きたくない。
痛みや苦しみは俺にとって、死以上の恐怖だから。
苦しむことなく死ねるなんて、これ以上美事な制度はあるのだろうか。
高校三年生の春。学校に居場所はない。
このうだつの上がらない冷たい人生に、終止符を打つ時がやってきた……。
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