いつもの、ユメ

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「ナンテッタッテ〜、ア〜イド〜ル!!」 スポットライトに、照らされながら、 何度もリハーサルした階段を、堂々と、1段ずつ、足を進め、舞台へと降りていく。 半面、内心はドキドキで、緊張なんてものではない。 そう、今、念願の、大晦日紅白の紅組のトリ、、、 ベテラン大物歌手の方に、紹介され、皆んなは笑顔だが、 足元を、心配そうに見ている。 履き慣れた靴なのに、、、初めてハイヒールを履いたような、ぎこちなさが、、、 『カクンッ!』と音がして、ヒールが折れそうな気がしながら、 歌詞を間違えないように歌う、、、そこに、私がいた。 ライトが、眩しすぎて、舞台の向こうは、見えない。 歌いだして、少しすると、「あれ?、、、なんだか様子が、、、」 歌いながら、声が、かすんできた、、、振り付けが、曲に合わなくなってきたような、、、 自分が歌う歌詞が飛んでいく、、、 意識が、違う所へ行き始めた瞬間、とてつもなく大声で歌っている声で、 そう、、、 自分の声で、目が覚めた。 と、同時に、一瞬、フリーズするも、一応、周りを確認する。 天井を見つめて、数秒後に、笑いが込み上げる、、、 恥ずかしいやら、なんだか、まだ寝ぼけているのか、訳が分からずにいた。 『まったく、なんなんだ、、、今のは、、、」 ユメだったのかと、自分に言い聞かせているようで、、、 『残念だったね、、、』 な訳ないよね、、、なんで、こんなユメを見たのか分からなかった。 『ごめんなさい、、、』 Kさんの歌を、何故、歌ったユメだったのか、、、 ハテナマークで、埋め尽くされて、笑えるのに、寒気もした。 子供の頃に、将来のユメは、〝歌手“なんて思ったことはあったが、 それも、遥か昔のこと、、、。 最近は、もうカラオケにも行かないし、歌番組なども見ていなかった。 『こんなユメをみるのかぁ〜?』 気持ちの、スイッチを切り替えるも、笑いは、なかなか、止まらなかった。 人前にでることが、苦手。 人前で、話す事も、勿論、苦手。 その、真逆をいく自分が、歌を、大舞台で、歌っているユメを見てから、 時々、少しずつ、本当に、少しずつ、そのユメの続きを見る様になった。 しかし、歌い終わる前に、すぐに、同じ様に、目が覚める、、、 それから、どれくらいたったか、暫く、ユメを見なくなった。 忘れているくらい、歳月が過ぎていた。
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