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しばらくは美希が激励のLINEを送ると短文やスタンプが返ってきてやり取りがあったが次第に、それもなくなり賢立から何も聞かされないまま時が流れた。 何か理由がある。聞いたら教えてくれる。そう信じてメッセージを送ると着信した。賢立からだ。美希は普段通りを装う。賢立の声は細々としていて重かった。 「もしもし賢立?すごいね!超売れっ子じゃん!」 『ずっと連絡できてなくてごめん。それから作詞のことも…全部自分でやったことにしないとデビューさせないって言われて…それで…』 「ああ。なるほど…納得!じゃあしょうがないね!貢献できて良かったよ!」 『…ほんとにごめん。美希の物を奪うような形になって…』 「いいよいいよ。それで賢立の夢が叶ったんなら!それより何か元気ないみたいだけど…ちゃんと食べてる?寝てる?私が言うのもなんだけどさ」 本心を隠しながら話していると電話の向こうが静かになったのでバレたかなと思いながら「もしもし?」と言うとしばらくしてから声がした。 『本当は……誰にも言うなって言われてるんだけど…美希には聞いて欲しい。俺…心臓が悪いんだって。もしかしたら、死、ぬかも、しれない…』 美希の頭は真っ白になった。賢立の今の心境が手に取るように分かる。無意識のうちに口から出ていた。 「ねぇ…会いたい。会えない?」 通話を切る直前、え!?ケンが電話!?珍しい!!と女性の声がした。
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