愛おしい我が子

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 抱いている千花の頬に、私の涙が落ちた。千花の涙と混ざって伝い落ちる。私に何が足りないの。どうしたら寝てくれるの。答えがどこにもなくて、泣き声に責められる。  ふと、子守唄は試していないなぁと、おばあさんの言葉を思い出した。どうせ寝やしないんだから、試すだけ試してみよう。そして子守唄なんかじゃ寝ないと、おばあさんに言ってやる。  半信半疑のまま、有名な子守唄を口ずさんだ。歌詞は一番しか分からない。同じ歌詞を何度も繰り返す。  ……寝ない! やっぱり寝ない!    私の歌が不快だとばかりに足を突っ張る。この小さな手に力を入れて、この小さな足で精一杯の主張をする。   「この歌じゃなかったかぁ、よしよし」  トントン背中を叩きながら身体を揺らす。じゃあ、この歌はどうだろう。別の子守唄も歌ってみた。同じく、一番しか歌詞が分からないので、延々とリピートだ。  しばらく歌い続けたけど、やっぱり一向に寝る気配はない。揺れる身体は脳まで揺らすのか。時折、閉じたまぶたが一瞬開かない時があるけど、千花の泣き声で我に返る。  隣のおばあさんが言うように子守唄を歌っても、やっぱり寝ないじゃん。そんなに簡単に寝てくれるなら、苦労しないんだよ。
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